これも生き残るため…穀類の害虫の死んだふり

 クマに出合ったら、死んだふりをするのか、逃げるのか、戦うのか?

 人間の場合、どの方法が良いかは状況次第だが、穀類の害虫のコクヌストモドキでは、天敵のクモに対して、死んだふりをすることで生き残る可能性を高めていることを、岡山大学の宮竹貴久助教授(進化生態学)が実験で確かめた。24日から新潟市で始まる日本生態学会で発表する。

 死んだふりは、ニワトリやヘビ、カエルなど多くの生物に見られる。生存競争のための振る舞いと考えられるが、本当に生き残りに役立っているかどうかは、よくわかっていなかった。

 宮竹助教授は、コクヌストモドキの遺伝的な選抜を10世代繰り返して、死んだふりを頻繁にする系統と、ほとんどしない系統を作ることに成功した。それを天敵のクモと15分間一緒にして、どちらの系統が生き残る可能性が高いか比べた。

 各14回の実験で、死んだふりをする系統は13匹が生き残ったのに対し、しない系統は5匹しか生き残れなかった。死んだふりをしない系統は、普段から活発に動き回る傾向があり、運動量は死んだふりをする系統の約2倍あった。

 宮竹助教授は「活動性を支配する物質があって、それが死んだふりも制御している可能性がある」と話している。
(読売新聞) - 3月12日13時57分更新